「ぼくは眼はわたさないとおもうよ」「わたしはいいわ。目はいいわ」

むかし、ぱっと眼がさめたら、昔話みたいにおんなのひとが正座していたときがあって、すごくこわかった。そのときなんだか、「ぼくは眼はわたさないとおもうよ」と昔話のようなかんじで、言った。おんなのひとの肌はすごく白くて、鶴みたいだった。バスに乗っていると、ときどき、思い出す。 

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター